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凶器準備集合および結集の罪

最近、マスコミ等でよく取り上げられている
「共謀罪」にちなみ
「凶器準備集合および結集の罪」について
少しふれてみます。

大学の頃
眠たくなる刑法関連の教授の中で唯一?
面白かったI教授(司法試験の委員経験者らしい)の
講義の中で特に印象に残っている
「凶器準備集合および結集の罪」

刑法208条の2 には以下のようにあります。

①2人以上のものが他人の生命、身体または財産に対し共同して害を加える
 目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを
 知って集合した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

②前項の場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って人
 を集合させた者は、3年以下の懲役に処する。

上記の通り
凶器準備集合および結集の罪とは
犯罪が実行される前
準備の段階で
集合しているだけで
罪になるのです。



通常「犯罪の実行行為を伴わない」予備罪は
殺人罪、強盗罪、他重大な犯罪などに限定されています。
たとえば殺人をしようと思って
包丁や凶器を買うと
実際に人を殺さなくても
予備罪になるわけです。

ここのポイントは
殺人の意思をもって購入したのかどうか。
たとえば
通常の買い物時に
家にある包丁が壊れたから
たまたま購入した、そのあとに、
何らかの原因で
殺意が生じた場合には
どうなるのか、微妙な所です。

で、話を戻して
凶器準備集合および結集の罪 の場合
凶器の定義が何のなのか
凶器があるのを知らないで、友人の家に行ったら
たまたま凶器らしい、凶器と言えないこともない、モノがあったら
どうなるのか
条文では曖昧なままです。

つまり
凶器の定義がはっきりしないと
包丁、ナイフ、銃関係だけではなく、木刀、ハンマー、鉄棒など
ありとあらゆるモノが凶器とみなされると事がありうるのです。

実際に
昔、学生運動が盛んだった頃
(私もリアルタイムでは知りませんが)セクト間での抗争時に
この法律で処罰された人たちがいたようです。

当時
学生運動家の一員だったAさんの例です。
ただ仲間の家に集まれと言われて
行ってみたら
対立するグループを襲撃する相談が始まってしまった
その時、部屋の中には
凶器といえなくもない角材の棒みたいなものがあった。

そこに、たまたま
このグループが集まるらしいという
情報がつかんでいた警察がふみこみ
Aさんも逮捕されてしまったという事です。

Aさんは有罪?無罪?
どちらだと思いますか?

ちなみに、実際の裁判では有罪になったとのことです。

日本も近い将来
裁判員制度が始まり
私たち素人が
有罪か無罪かを判断しなければならなくなる訳です。

プロの法律家でなく
一般市民がきちんと有罪、無罪を判断できるような
法律が望まれます。

条文の曖昧さは
危険だし、本当に大丈夫なのかと心配になりますね。

そうそう
I教授が言ってました。
この 凶器準備集合および結集の罪 は
非常に危険だと
日本刑法の根幹を覆すようなものだと・。

でも今、また
それ以上に危険な
「共謀罪」が作られようとしています。

本当に恐ろしいことです。
by MarumiHappy | 2006-06-10 00:08 | 法律

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