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茶色の朝

私の所属する団体の代表でもあるNさんから
「茶色の朝」という本を借りました。
その本があまりに素晴らしかったので
ここでそれに因んだ話しをしたいと思います。

著者は、フランク・バヴロフ
フランスとブルガリアの国籍をもつ心理学者、人権活動家。
訳者は、早稲田大学助教授の藤本一勇氏
そして絵は、
映画俳優でもあるヴィンセント・ギャロ氏が
日本語版用に描いています。

内容は、ごくふつうの一般的な二人の男の会話、心の動き、
思考を中心に描かれています。

ふつうの人々は、今ある平和を享受する毎日をなんの疑問も
もたずに生活しています。
ところが、彼らの生きている国(政府)が、
茶色以外のものを一切禁止するという法律を作ります。
それは例えば、猫、犬、その他の動物、「茶色新報」以外の新聞
「茶色ラジオ」以外のラジオ、など、とにかく茶色以外のものは
全てその存在を許されず
それに反した場合は国家反逆罪になってしまうのです。

ふつうの人々である二人の男は、茶色以外の猫や犬を飼っていました。
二人がどうしたか・・・。
そして、茶色の世の中はどうなっていくのか・・・。

ちなみに何故「茶色」なのかとお思いでしょう。
実は、フランスでは、茶色はナチスを連想させる色だそうです。
ヒトラーに率いられたナチス党(国民社会主義ドイツ労働者党)は
初期に茶色のシャツを制服として着用していたそうで
別名茶シャツ隊と呼ばれていて、今日では、茶色はナチスだけでなく
ナチズム、ファシズムなども連想させる色になっているそうです。

又この本が2002年春のフランス大統領選挙で
人種差別と排外主義で有名な極右政党・国民戦線の
ジャン=マリー・ルペン候補が決戦投票に残ってしまった時
フランスの多くの人々が、この「茶色の朝」を読み
「極右にノン!」の運動がもりあがり
その結果、レペン候補は敗北したという事です。

本の中では、ふうつの人々が知らない間に
怖ろしい法律が作られていきますが、
人々は「仕方がない」という言葉で自分を納得させて
見て見ぬふり、聞こえないふり、を続けていきます。
そして、人々の生活はだんだん窮屈になり、ファシズム化が進んでいきます。

とても怖いと思ったのは
この本に出てくる人々は、日本人と少し似ているような気がするからです。

まず①「出る杭はうたれる」との諺にもあるように、ふつうを好む人が多い。
②政治や思想について等の議論はあまり一般レベルではなされない。
③市民運動家のような人達とふつうの人々との間が乖離している。
④法的意識が薄いし、法律そのものに対し難しいからと興味を持っていない。
勿論、上記のイメージは私個人の感じ方なので、
それは違うという意見もあるかもしれませんが。
ご了承下さいませ。


とにかくは
ふつうに生活する中で
はっきりと目には見えなくとも
色々な脅威が存在する事がある訳で
私達はそれを見過ごしてはいけないのです。


そして、やっぱり
私達は「仕方ない」で流されてはいけないのだと
こんな世の中だから・・・ですませてはイカンのだと
思いました。

と言っても
一体、私に何が出来るのか、というと
そう大きな事ができる訳ではありませんが。

せめて

「茶色の朝」 是非、実際に読んで見て下さい。

と、たくさんの人に伝えたいと思います。
by MarumiHappy | 2006-05-12 01:38 | 法律

やっぱりねこがすき!


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